□4.恐れ
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「恐れてなんか…」

いない、そう言おうとしたが、

「ならば、何故そんなに悲しい瞳をしているんだい」

そう言葉をさえぎられた。

「君の瞳は、周りの者を拒絶する。それと同時に悲しいと言っている。
いったい、君は何を抱えているんだ」

真っ直ぐに、私の瞳を見据えるその男。
見透かされそうで、弱くなりそうで、そんな状況から逃げ出したくなった。

「っ離せ!」

久々に、自分の荒げた声を聞いた。

「人間など、大嫌いだ…」

その呟きに

「なぜ?」

そう聞いてきた。
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