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□猛毒を吐くピンクの唇
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気持ちよすぎてたまらない

触れ合っている所から徐々に侵食されていくように広がる甘い痺れ。
離れたくないとばかりに絡み合う舌と、お互いの間で行き交う熱い吐息。
時折隙間から漏れる艶めかしい色付いた声色。

その全てに我を忘れ、呼吸する暇も惜しむように貪りついてしまう。


「ん…ふっ…う、すい……」


弱々しい声と胸を打つ刺激にハッとしたように意識を取り戻した。
目の前に映る鮎沢は真っ赤な頬と潤んだ瞳をしていて、乱れた呼吸を必死に整えている


「…ごめん、鮎沢。苦しかったよね」

「…はぁ、いや、…っ大丈夫だ。ただ、あんな風にキ、キスされると…その……やっぱりいい」

「嫌だ…とか?」

「嫌な訳ないだろ……はっ!いや、今のは…〜っ」


叫ぶように告げられた彼女の本音に嬉しさが込み上げ、その小さな身体を胸の中に引き寄せた。
顔を覗き込もうとすると、赤くなっているのを見られるのが恥ずかしいのか必死に顔を押し付けて隠そうとしている。でも、髪の隙間から覗く耳は隠しようがないほど赤く染まっていた。
あぁ…もう。何でこんなに可愛いんだろう。
彼女の一挙一動が愛しくて仕方ない。


再び引き寄せられるように唇に触れようとすると、残り僅かの所で鮎沢の手に阻まれてしまった。


「…鮎沢、手のけて。」

「いや、あの…少し待ってくれないか」

「嫌だ、待てない。今すぐ鮎沢にちゅーしたい」

「ーっ」

「ね、ダメ?鮎沢」


甘えるように彼女に擦り寄り、可愛い唇を隠す手に何度も何度も口付けを送る。そのまま唇をずらし額や目元にキスの雨を降らしていくと鮎沢はほだされたようにトロンとした表情になっていた。


「…う、すいのアホ。こんな風にされると困るんだよ」

「えっ?」

「さっきのキ、キスだってそうだ。お前が私に触れる度にお前のことしか考えられなくなって…どうしたらいいか分からなくなって…ここが苦しい。」


自分の胸元をギュッと握り締めて俯く鮎沢。

彼女の綺麗なピンク色の唇は本当にとんでもない代物だ

甘い甘い触れ合いで俺を夢中にさせるだけでは飽き足らず、今度は可愛い言葉を吐き出し俺の心を溶かしてしまいたいらしい
本当に…参ったな。鮎沢が可愛い過ぎて俺、どうにかなっちゃいそう


「ねぇ、鮎沢。俺もね、こうやって触れてると鮎沢のことしか考えられなくなる。だから鮎沢が同じように思ってくれてて嬉しいよ」

「…碓氷」

「どうすればいいか分からくて困るんだったら、俺に全部任せてくれたらいい。鮎沢はいつものように俺のことだけ考えてくれてたらいいよ。…分かった?」


素直に首を縦に振った彼女に優しく微笑み掛け、噛み付くように唇を奪った。

キスの快楽に酔いしれながら、俺だけの特別な存在を強く強く抱き締めた
…もう絶対に離さないという気持ちを込めて





end
お題・Aコース
2010.2.14

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