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□ひどく恋しい
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ガタンとぶつかり合う音と共に碓氷の困惑した声が耳に入ってきた。
いきなりこんなことをされれば誰でも驚くに決まってる。…私は玄関に入った瞬間、碓氷の胸の中に飛び込んだのだから。



ここ数週間ずっと、生徒会の仕事やバイトで忙しかった。碓氷とは毎日会っていたがこうやって触れ合う時間を取れる訳も無くずっとずっと我慢していた。
だから、2人しか居ないこの空間に入ってしまえばもう抑えなんて効かない。私は、触れたくてしょうがなかった温もりを求めてすがりつくように手を伸ばしていた。


「碓氷…碓氷、碓氷」

「何?鮎沢」


何度も名前を呼ぶと優しい返事と強い包容が返ってきた。
こいつは私の気持ちを汲み取るのが本当に上手い。理由なんて言わなくてもちゃんと受け止めてくれて、甘えることを許してくれる…そんなお前だからひどく恋しくなってしまうんだ


「このまま…離れたくない」

「―っ。もう、可愛い過ぎ」


突然襲った浮遊感。
後頭部に手が回され、上から押さえつけられるように唇が合わさった。あまりの圧迫感に息苦しさを覚えたがもっと深く繋がりたくて自分から舌を絡めた。
夢中で貪り合っている内に碓氷が私の靴を脱がし、床に落とした。
抱き上げられたまま室内に進みソファーにゆっくり下ろされ、なおも続く激しい口付け


「んっ…ふぁ……ぁ」

「今日はすごく甘えん坊だね」

「碓氷、もっと…して」

「…加えて積極的」


碓氷は嬉しそうに微笑み、願いを叶えてくれる。

こうやって触れ合っていると私の中の足りなかった部分が埋められ満たされていく。でも、それに反して碓氷の嬉しそうな姿や私を包む力強さに胸がどうしようもなくトキめいてもっともっとと身体中が叫ぶ

…私はお前が居ないと駄目なんだな。
心の中に出た答えに素直に従い、私は欲してやまない男の背中に腕を回し、その温もりを堪能した。






(おまけ)

「美咲ちゃん、おはよう」

「―っ、あ、あぁ。」

「あれれ〜?何でそんなに真っ赤になってるの?もしかして昨日のこと思い出しちゃった?」

「ちちち違う!断じて思い出してなんかないぞ!」

「ふ〜ん、そっか。でも俺は思い出しちゃった。…鮎沢はいつも可愛いけど、昨日は特別可愛いかったからね。またあぁやって甘えてほしいな」

「〜っ。……たまにはな」

「可愛い〜〜」

「だっー!くっつくな!この変態がぁぁぁ」






end
2010.3.11

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