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□つのっていく
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もうすっかり夜の闇にのまれてしまった帰り道。こんな時いつもなら隣にあるはずの温もりに思いを馳せ私は深い溜息をついた。

あいつが姿を見せなくなって何日経っただろう…

碓氷のクラスの前を通れば目が無意識にあいつの姿を探している。
生徒会室ではあいつが後ろに居るんじゃないかと思って振り返る。
携帯に手を伸ばしてはあいつからの連絡がないか確認してしまう。

おかしい
碓氷に会えなければ会えないほど会いたい気持ちがつのって止められない。

『どうしようもなく会いたい』
そう強く心の中で呟き、ふと前を見据えると月明かりに照らされた一人の男の姿

自分の目に映る光景が信じられなくて思わずその場に立ちつくしていると、私に気付いたあいつが口を開いた。

「鮎沢」

久しぶりに耳に届いた甘い響きに私はいてもたってもいられず走り出した。碓氷もこちらに駆け寄り私達の距離はあっという間に0cm
お互いの存在を確かめるように抱き締め合った。隙間などないように強く、強く


「…やっと会えた。鮎沢に会えない間、寂しくて死んじゃうかと思ったよ」

「碓氷のアホ…私だって」

同じ気持ちだ。
お前が居てくれないと調子が狂う

「その『碓氷のアホ』っていうの聴くの久しぶり。…ねぇ、もっと俺の名前呼んでよ、すごく安心するから」

「…碓氷」

「んっ。鮎沢」


名前を呼べば嬉しそうに微笑んで、髪・額・頬へと順に余すことなく口付けをくれる。その温もりがあまりにも心地好くて私は全てを任せるように寄り添った。

「…この表情も久しぶり。俺の前でしか見せない可愛いくてどうしようもない表情。もっと見たい」

碓氷の手が私の頬を包むように触れる。

「私にもお前の顔、もっと見せろよ」


お前だって私の前では穏やかで柔らかい表情をしているんだから…

碓氷の手に自分の手を重ねればそれが合図のように唇が重なった




(おまけ)

「ところで何でこんな時間にこんな所に居たんだ?」

「あぁ。最近ずっと会えてなかったから、会うの明日まで我慢出来なかったんだもん。それに明日久しぶりに学校で会ったら俺、所構わず美咲ちゃんにちゅーしちゃうかもしれないし〜」

「なっ!この変態宇宙人!何考えてるんだよ」

「え〜?美咲ちゃんだって人のこと言えないと思うよ。いくら夜で暗いからってこんな道端で俺に抱き着いてきたんだから。それにちゅーまでしちゃったし」

「あ、あれは何と言うか…身体が勝手に」

「勝手に…ねぇ」

「〜っ。何だよ。ニヤニヤしやがって!もうお前のことなんか知らん」

「待ってよ、鮎沢」

「誰が待つか!」


後ろから追いついてきた碓氷に手を握られれば、あっという間に嬉しい気持ちに染め上げられる。それが悔しくて私は赤くなった頬を隠すように顔を背けて歩いた。







end
2010.4.11

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