私は誰だ?

□私は誰だ?
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そこにはドラム缶が山と積んであった。
その全ては赤褐色に塗装され、どれも白のペンキで「危」と大きく書いてある。

その裏に、私は潜んでいる。

今や此処から飛び出ることも叶わない、四面楚歌の状態であるらしい。
らしいというのは、私の考えうる全ての可能性を熟考した結果であり、依然として推測の域を出ないことに起因する。

「くそっ、このままでは……」

何気なく私は呟いていた。
偽物の緊張感を肌に纏わり付かせ、ピストルのホルダーに掛けた手が小刻みに震える。


―――遠くに銃声。


ゆっくりと地面に附いていた右手を離し、コートをまさぐった。体勢を崩しそうになって、右膝が地面に付いた。
立てた左足と腹の間から左のポケットを探ると、ゴツゴツした黒の通信端末らしき物が入っていた。
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