私は誰だ?

□可能性
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目が覚めると、薄暗い灰色の天井があった。

床からもひんやりとした感触。

おもむろに起き上がると、四方がコンクリート打ちっぱなしの、電球が一つぶら下がった部屋に私は捨てられていた。

捨てられていたというのも、私は全裸であった。

こんな状況なのにそれが堪らなく恥ずかしくなり、思わず手で股間を押さえる。

ふと、ここに来る以前の事が何も思い出せない。

私が何という名前で、どんな顔をしていて、今何歳なのかも。

股間を隠しながら、私は大まじめになって思い出そうとしたが、何も思い出せない。

もしかしたら昨日は酒に酔い潰れて、どこかで頭を打って記憶障害になった挙げ句、どこかの物好きに拉致されたのかも知れない。

はたまた薬を飲まされて、とある凶悪な組織から家族の元に身代金要求が行ってるのかも。

そこで、いや、と思った。

どうやら何も思い出せない割に本能は庶民であるらしい。

有り得るとすれば前者かな、と私は思った。
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