私は誰だ?
□境界
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その空には低く曇が立ち篭めて。
涸れた大地は白んだ砂塵で形成されている。
まるで砂漠のような、しかしモノクロの世界。
灰の煙に巻かれて、遠くで大地と曇が繋がっている。
柱は、巨人であろうか。
巨人とは、灰の色をしていたのだなあと思って。
少女もまた、灰の煙に身を晒していた。
形を成さない白の砂漠を、少女は歩いた。
さく、と音がして、少女は裸足であった。
お気に入りのワンピースに灰を載せて。
もう模様も忘れてしまった。
さあっ、と風が通って。
少女は見えなくなった。