私は誰だ?
□モノトーン
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世界に色は無く。
此処は彩度を失った有象無象の群れ。
いや、群れなどという統率性を持つものではない。
もっとけだるく、しかし鋭い空気がただ支配する空間。
空は割れ、地にうごめく裂け目が在った。
私もまた、色を持たぬのであろう。
分離した棘と棘を縫い合わせて、ヒトが出来た。
それゆえに美しく、焦がれ、醜い。
黒い羽根を持つものが在った。
鋭く、平面的な翼を稲妻のように上下し。
世界のまばゆい白と分断されている。
それはヒトではなかった。
幾何学模様で近付くそれを、私は触れず、受け入れるのみ。
光と闇ほどに奥行きの無い此処は、秩序であり、混沌でもある。
また、烈しい斥力。
ついに交わらず、撥ねた。
それはやはり、無限遠の彼方に存在し、再びの時を待つ。
私は白。永久に黒と融ける事は無い。
これはまだ、世界が形を持つ前のお話。