図書館のエデン

□図書館と秘密基地
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澤野は図書館にいた。

時計は十時四十分を回ろうかというところだ。


「何してんだろ……」


今日から九月に入り、学校の図書館は閉まっていた。

……はずだったのだが、こういうところに緩いのか我が校の図書館は受付のお姉さんがいないことと冷房が効いてないことを除けば、いつも通りになっていた。

「なんだかなあ」

読みかけの小説を手に取って、はて、昨日はどこまで読んだか。
しおりを挟んであるページが微妙に進んでいる気がするぐらい、その辺の記憶が曖昧だ。

何か、こう二十分という時間がやけに長くなった気分だ。
それぐらい期待している自分に、澤野はため息をついた。最近よくため息をついてしまうのだが、やっぱりため息をついたら幸せが逃げていくのかな。いや、もしかしたらもう幸せじゃないのかも、彼女いないし。……いや、何だよそれ。

「……はあ」


いつもと違う暑い図書館は本を読むのに向いておらず、澤野は手の上でその本を持て余した。
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