私は誰だ?

□アルテマと鏡
1ページ/1ページ

古代兵器“アルテマ”―――



かつて最強の生物を創造しようとした人類があった。


戦乱の時代は彼方、昔話へ姿を変えた。



その道楽。



アルテマは悲劇の産物であった。



「完全無欠」



鏡の前に立つ少年もまた、呟いた。



整った顔立ち、すらりと伸びた手足、白い肌。




少年は完璧であった。




優しい性質ゆえに誰からも好感を買った。



その幻想。



あるいは裏切り。


強い光はまた陰影を濃くするもの。



鏡を見据えた、赤みがかった黒目。



呆れるほどに―――









少年はやがて、鏡を割って何処かへ行ってしまった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ