四天宝寺中@

□授業より大事なもの
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酷い倦怠感と喉の痛み…うぅ、完全に風邪引いたみたいやね。


最近暖かくなったり、かと思えば急に寒くなったり。


変な天気やから気を付けていたのに見事にかかるなんて…。


『うぅ…一生の不覚っ!!…ゴホッ!ゴホッ…』

「あぁホラ。そないに急に喋るからや…大丈夫か?」

『ゴホッ、ゴホッ…だ、大丈夫や……って!!?く、蔵っ!!??』


激しく咳き込んでしまった私の背中を優しく擦ってくれた人。


それは今、ここにいるはずない人…彼氏の蔵ノ介やった。


『な、なんで蔵がここにいるんや?今授業中のハズやろ???』

「…細かい事は気にせんでえぇ。それより体調はどうなん?」

『……サボりよった、コイツ』


さらりと私の質問を流したけど、今ここにいるという事はそういう事やねんな…。


私がはぁ…とため息をついたら、頭をポスッと叩かれた。


『いたっ!』

「アホか自分。誰のためやと思ってんねん…」

『…………私?』

「当たり前や。彼女が寝込んでんのに、放っとく彼氏なんていないやろ?」


そうやってニコリと笑う蔵に、不覚にもドキッとしてしもた…。


本当に蔵は優しいねんからもう…私の負けやね。


そう思った私は促されるままに、布団に横になった。


『蔵…ずっといてくれるん?』

「おん。今日はずっとここにおるから今は眠っとき…な?」


私を見つめながら、優しく頭を撫でてくれる蔵。


それがあまりに心地いいから、私は襲ってくる眠気に負けそうになった。


『…蔵…ありがとう。だいすき…やからね…』


だから負ける前にひとことそう伝えて、私は眠りに落ちた。



「授業よりお前が大事に決まっとるやろ?…早くよくなってな…」


蔵がポツリとそう言ったのが、聞こえた気がした。


















授業より大事なもの
(いつでも大事なんはお前に決まっとるやろ?)

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