パンドラハーツ
□壊れた玩具
1ページ/4ページ
「何処へ行かれるのですか?」
「ナイショ」
ヴィンセントはエコーに答えた。
扉を開け、部屋の電気をつける。
床にはギルバートが服をはだけさせた状態で倒れていた。
呼吸は荒く、汗がしっとりと彼の髪を濡らしている。
「やぁ兄さん。気分はどう?」
ギルバートの前にしゃがんで、ヴィンセントが尋ねた。
「兄さんが言うとおり、昨日はやめて帰ってあげたんだけど」
ボタンが外れたシャツから手を滑り込ませ、ギルバートの胸の突起をなぞれば、それまでぐったりとしていた彼がぴくんと動いた。
ヴィンセントはシャツを脱がせ、ギルバートの胸に舌を這わせ、突起を唇で挟んだ。
「どう?今日もこのまま帰って欲しい?」
「う゛ぃ、ん、せんと。もう、やめるんだ・・・」
「じゃぁ帰って良いって事?」
カリッと突起を歯でかんだ瞬間、微弱な電流が走ったかのようにギルバートが身を震わせた。
「はぁっ、あっ」
「いいの?帰って?」
もう片方の突起を指でつまみ、ひねるとギルバートの喉から嬌声が漏れた。
「どうなの?」
突起に吸い付き、先端を舌でなぞる。
「はふっ、やぁっ」
「はっきり言って。聞こえないよ?」
ヴィンセントが更に強く吸い付く。
ギルバートの視界が白くぼやけた。
媚薬の効果が残るこの体でもう一晩一人で過ごすなど、拷問にも等しい。
「い、いか、ないでっ」
思わず口をついて出てしまった言葉に、ヴィンセントは満足そうに笑った。