FF13
□あいつ
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ホープは地べたに倒れた男を冷めた目で見つめた。
冷たい怒りが、少年の体を支配する。
こいつが、この男が、母さんを殺した・・・っ
力任せに男の腹を蹴り飛ばす。
こいつさえいなければ、母さんは・・・っ
ホープは足下で小さく咽せる男ースノウの頭を、つま先でこづく。
顔をしかめスノウが目を開け、ホープを見上げた。
「ようやくお目覚め?・・・良いご身分ですね」
スノウは何か言葉を発しようとしたが、口にホープの靴を履いたままのつま先を押し込まれ、結果としてうめき声を上げた。
「あなたにはその姿がお似合いですよ。どうですか?泥にまみれ、自分より小さな者に足蹴にされる気分は?」
ぐりぐりとスノウの口につま先をねじりこむ。
「ヒーロー気取って、みんなを守るとか言って」
スノウが苦しげにうめき、拘束された四肢を自由にしようと動く。
「はっ。まるで芋虫のようですね。所詮芋虫がいくらヒーロー名乗ろうと無駄なことなのに。ほら。なんとか言ったらどうですか?」
ホープが足をどけると、スノウが血と泥が混じったつばを吐き出した。
「すま、ない。ホープ。俺は、君の母さん、を、救おうと」
「救う!?ふざけたことを言わないで下さいっ!母さんは死にましたっ!何処が救えたと言うんですか!?」
何度も何度もスノウの腹部を蹴りあげ、いつしか白いコートは茶色く、泥まみれになっていた。
スノウは悲しい目でただ虚空を見つめた。
「すまない。本当に・・・」
「謝っても母さんは生き返りませんっ!!」
叫ぶと同時に、ホープは最期に力一杯スノウを蹴りあげた。
「ゴホッ、ゴホッ」
激しく咽せ、血と胃液が混じった物をはき出し、スノウが身を丸めた。