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□ついてゆく
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「酷い事しやがる…」
「一体誰が?」
「決まってるだろう、真選組だ」
「寺田屋に攘夷派が潜んでいたらしい」
「だからといってあんな…」
「真選組はそんなものだ、目を合わせねぇように気ィつけろ」
寺田屋周辺では、住民達の声がひびく
「ひでェ言われようですぜ、土方さん」
「ほっとけ総悟、あんな奴等相手にしてたらキリがねェ。だが、もしかしたらまだ住民の中に攘夷派が隠れてるかもしれねェ、キナくせェ野郎見っけたら迷わずぶった斬れ」
沖田は落ち着いた様子で「へい」と返事する。
そんな話をしながら歩いてゆく真選組は紅い血に染まっていた。
先頭には局長の近藤が…
「それにしても…」
そう言ったのは沖田である
「ひでぇ変わりようでィ、近藤さんは…いつもの近藤さんは、戦の後には消えちまってら。」
「当たり前ェだ、あの人をただのゴリラのストーカーだと思うな」
「残念ながら、姉御にはゴリラのストーカーとしか思われてやせんがね」
姉御とはゴリラのストーカー(近藤)が愛する人物のことだ。
「だとはいえ、俺たちってかわいそうな人間じゃありやせんか?」
「どういうことだ」
「江戸の為にこうやって命捨てる覚悟で戦ってるってーのに、幕府の犬だチンピラだって悪ィ言われようじゃねーですかィ」
「いや、それはテメェのせいだろ」
沖田にすかさずツッコミをいれたところで土方は煙草に火をつける。
「恨みを買うのが俺たちの仕事だろ。いいんだよ、近藤さんに着いて行けばいいだけだ。信じるもんも、あの人だけだよ。」
沖田は微笑み、静かにうなずいた。
END
→あとがき