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□ウソっぱち
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「何がですか?」

「いや…;」


笑顔で聞かれるものだからうろたえてしまった

包丁の持ち方がまるで
なっていない


「お妙さん…俺がやるからアンタは向こう行っててくれよ」

「大丈夫よ、もう少しだから」


いや、全然大丈夫じゃねェ…そう言おうとしたとき


「いたッ!」


彼女は眉をしかめていた

俺は慌てて彼女に寄った


「バカ野郎!だから俺がやるっつったんだ!!」


俺が一喝怒鳴ったあと
お妙さんの手をとった

傷は深くない…
だが出血がひどい


「救急箱はあるか?」

「あそこの棚に……」


俺に怒鳴られたせいか
シュンと小さくなっている
彼女をお構い無しに
救急箱のある棚まで
引っ張って速足で歩く


血は止まったかな、
よかった……

手当てが済み、俺は
一服をついた


「ありがとうございます、土方さん…」

「アンタは近藤さんに大切にされてる身だ。…ムリな事はすんな」

「……貴方は?」


俺は煙草を口へ運ぼうとした手を止めた


「……?」

「近藤さんが心配するから…貴方は私を護るんですか?ただ…それが理由だから?」


近藤さんがいたから…
ずっと自分の気持ちに
嘘付いてたのか?


「……多分、それだけじゃねェな」


好きって気持ちに
嘘付いてた


「きっと…これ、近藤さんにバレたら。本当に上司と部下の戦いになるかもしれねェな」

「罪な女かしら、ふふっ」


笑い事じゃねぇっつの
他人事だと思いやがって
…まぁ他人事だけど。


悪ィな近藤さん…
俺ァお妙さんのこと


「好きだ」



もう嘘は付かねぇから




END

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