紅色の川

□第2話 王様は誰?
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「小林希美です!趣味は音楽鑑賞でーす!」
「七村隆史です。映画を作るサークルに入ってます」
「桃山千紗です。くまのぬいぐるみ集めてます」
「山都まことです。歌手ではポルノグラフティが好きです」
「今野杏奈でーす!特技は体が柔らかいことです!」

「紅川晃太です……コーヒーが苦手です………」


 俺は何でこんなところに居るんだ?
 
 時は7時
 場所はとある居酒屋
 人数は男3人、女3人、合計6人 
 

 いわゆる合コンという者に俺は参加している。もちろん、こんな祭りは初めてですごい緊張している。空想上の出来事ではなかったのだな………

 さて、どうしてこうなったのか
 それは、昨日の昼のこと……



 俺がパソコンで無料動画サイトを見ているときだった。机の上にあった携帯がブーッと音を鳴らしながら震える。
 見ると着信だった。しかも、山都先輩
 着信自体が珍しかったので、すぐに電話にでた。

「はい」
『やぁ、紅川君』
「電話なんて珍しいですね」

 先輩の口調はいつもより少し楽しげだった。

『明日暇かい?』

 この間、遊んだばかりなのにまた遊ぶのか?失礼だが、先輩はよっぽど暇なのか?

「ええ、暇じゃない日なんて、そうありませんよ」
『じゃ、明日の6時30分に駅前集合ね』
「えっと……何するんですか?」
『え?合コン』



 は?


「冗談ですか?」
『私が冗談を言うと思う?』
「ですよねー」

 合コンってなんだ?
 いや、知ってることは知っている。
 あれだろ?あのー、男女の比が一緒でゲームとかやって……そっから恋人同士になったりする祭りだろ?
 俺は能にある僅かな辞書項目を頭の中に浮かべて

『いや、友達の一人がインフルエンザにかかって明日来れそうにないから』
「嫌です」
『そういわずにさ、社会勉強の一つとして』
「嫌です」
『人とのコミュニュケーションも深まると思うよ』
「嫌です」
『もしかしたら、これをきっかけに恋人ができるかもしれないし』
「嫌です」

 かたくなに断る俺
 行きたくないし、苦手だし……とにかく嫌だった。

『お願いだよ』
「無理なものは無理なんです。俺なんか、バカにされるに決まってます。だいたい、なんで山都先輩は合コンなんて行くんですか?」

 山都先輩は尊敬する人。
 優しくて、気を遣ってくれて、いつも笑ってくれて、人のことをちゃんと見てくれて、格好良くて
 そんな、先輩が合コンなんて……


「気でも狂いましたか?」

 それとも、よほど暇なんですか? 

『そうじゃないよ。好きな人を見つけるためだよ』
「そんなの……別に合コン行かなくたっていいじゃないですか?」
『そうだね。でも、私の社会勉強に取り入れたいと思ったんだ。友達に誘われたとき、正直すごく迷ったけど……でも、これがチャンスかもしれない。そう思った。それに……楽しそうじゃないか』
「最後が本心でしょう?」


 はは、と笑い声が耳を通る。

『じゃあ、明日』
「え!ちょっと……まだ…………切れた…」

 先輩は感動しているスキに電話を切った。これでは断れない。
 はぁ

憂鬱だなあ

 俺は明日の想像をする。




 地獄図しか思い浮かばなかった
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