紅色の川

□第十二話 決
1ページ/3ページ

家に帰ると母親が俺の格好に驚いた


「どうしたの?その服」

「ああ・・・・雨で濡れたから知り合いの家に行って着替えを貸してもらった」

「そう・・・・」


母親は変わらず悲しそうな顔をしている


「働こうとは思わないの?」


また、この質問か
と思った

うざったい

「いつまでも親を頼りにしないでよ」

「分かってるよ」

「母さんの願いはお前が自立してくれることだけ」

「知らないよ」

「晃太・・・・」

「今、いっぱいいっぱいなんだ」

「どうして?
仕事でも探してるの?
何か勉強でもしてるの?」

「ちがうけど」

「あなた、自分のこと分かってる?

そんな・・・・他のことに目を向けてる暇ないででしょう?」


なんで、そんなこといわれなきゃいけないんだよ


「関係ないだろ」

「関係あるわよ!

あなた、どれだけ迷惑かけてると思ってるの?

もうちょっと、母さんや父さんを安心させてよ」

「うるさい・・・・

今が大事なときなんだ」

「え?」

「これからのことで人生が変わるんだ

だから、母さんは放っておいてよ!」

「ちょ・・・晃太!」


俺は母親の声を無視して自分の部屋に一直線


自分でも分かってる
このままだと駄目なことくらい

いつまでも怪盗しているわけじゃない



でも・・・・


今だけは





駄目だ



今はとても大事なときなんだ




だから、今だけは・・・・




母さん、もう少しまって


ごめんなさい




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ