短編の部屋
□5000hitリク説
1ページ/6ページ
高い足音が響き渡る。
屋上へと続く階段。
薄暗くて、少し埃っぽい。
その先には、かなりくたびれた鉄戸がある。
弘幸はその鉄戸の取っ手に手をかける。
今にも壊れてしまうのではないかと思う音を立てながら、鉄戸は開いていく。
その先には……
眩しい光と共に、蒼穹の空が広がった。
むっつり顔の、かなり美形の男子……弘幸はいつもの場所に向かう。
この綺麗な青空が一番良く見える場所。貯水タンクの上。
貯水タンクにかかっている梯子を登っていくと、上から何やら物音が聞こえる。
(またアイツか……)
弘幸はがっかりした。
こんな所に来る奴は、弘幸を除いて『アイツ』しかいない。
貯水タンクの上部へ頭を出すと、先客から声がかかる。
「おっ、来たかヒロ」
「……もう愛称呼び捨てか」
「まぁ、そうかっかしない」
けたけた笑うこの青年は、雅人。
クラスも不明、知っているのは『お調子者』と言う事だけ。