* 小説 *
□夢物語〜猫の城〜
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気付いたら僕はお城の前に立っていた。
時代がいつだか分からないが、白くて古い洋風の城。
…頭がはっきりしない。
ぼんやりした視界で僕は城の扉を開けていた。
広いホールが見える。
「ああ、いらっしゃい」
よく来たね、というかのように親しみある口調で声をかけてくるひとつの小さな影。
よく見ると、相手はなんと猫であった。
この猫さんはなぜかしゃべれるようだ。はは。
冷静に理解している自分を少しおかしく思った。
「○○さんなら中庭でお昼寝してますよ」
そう言ってどこかに上品に歩いていってしまった。
(○○…?)
名前がよく聞き取れなかった。
僕はなぜここにいるのかよく分からないまま、ぼんやりしたまま、とりあえず中庭に行こうと思った。
中庭がどこにあるのかよく分からないが、日の当たっているほうへまっすぐ歩いていく。
途中、前を横切った黒い猫が、ちらっとこちらを見た。しかし何も言わずタッタと走り過ぎていった。
(ここはどこだ…?)
視界の端には白いもやがかかっていて、周りをよく見渡せれない。
僕は自分の姿を確認してみた。白いパジャマを着ていた。
そこで気がついた。
僕は今、夢の中にいる。