* 小説 *

□とある猫の物語
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チチチ…

青空、白い雲
暖かい陽射し

アスファルトで塗り固められた地面は、陽射しの熱を吸収してぽかぽかしている。
その上で、一匹の猫がごろごろと寝転んでいた。
透き通ったグリーンの瞳にグレーの毛並み…品種はロシアンブルーだ。

「い〜い天気だぁ」
猫はすっと立ち上がり、大きく伸びをした。
「お腹空いたなぁ…」

その猫は住宅街にいた。周りには高い建物がそびえ立ち、影を作っているため、日向を見つけるのは一苦労であった。猫はやっと見つけた日向スポットから離れ、活動を始めた。

くんくん…どこからかいい匂いが漂ってくる。猫は鼻を頼りに匂いの元へ向かった。
狭い路地裏を通り何件か建物の間をすり抜けていくと、古い小売店にたどり着いた。
キーンコーン…
正午の時報が鳴った。
お昼ご飯を作っているのだろう、お店の窓から魚の焼ける匂いがする。

『にゃ〜ん』
などとかわいい声で存在をアピールしてみる。
何度か鳴き続けていると、お店の奥さんが出てきて魚のアラをくれた。よし、これからここに通おう…

「おい、お前も野良か」
とたんに、後ろから声がした。振り返ると、体の大きな雑種の犬が猫を見下ろしていた。
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