琥珀

□Lost in thought
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─懐かしい夢を見た───


『イノセンスの使い方を間違ってはだめよ……
イノセンスはAKUMAを葬る為ではなく、人を愛し過ぎてしまった哀れな魂を救い…人を守るためにあるんだから………』




幼かった自分の頭を撫でてくれたたおやかで優しい指先‐‐‐‐


見上げた胸元に煌めくモノに反射した光りがまぶしたかった────














Lost in thought



ズゥーーン


と黒い暗雲が立ちこめる談話室に、体が大分回復してきたラビにリナリー、その向かいのソファにアレンと‐‐‐アレンの肩に抱きながらも暗雲の発生させている神田が座りお茶を飲んでいた



離れたソファーでは、アレンの監視していりるリンクがジィーっとコチラを見ている



「か…神田!!機嫌直して下さいよ!!」


皆を気遣いアレンが神田に声をかけるが、神田の機嫌は直ることはない


「まぁ!仕方ないさ。
折角教団に帰ってきたのに、アレンとの貴重な時間を邪魔されてるんだからさ」


フォローする気が全くないようなラビが、アレンに諦めるように諭す


先日から、監視と銘打って二十四時間アレンと生活を共にするという監視人であるリンクが現れてから神田の機嫌は頗る快調に悪い


初日などアレンと同じ部屋で寝るというリンクの言葉に神田が切れ、アレンの部屋の床に敷いてあった布団ごと廊下に放り出し

「俺の女の部屋に泊まりてぇなら、俺を倒してからにしやがれ!!!」


と言い放ち、リンクをノそうしていたところをコムイが止めに入って、何とか宥められリンクは命拾いした始末だった


「年頃の女の子なんですから、寝る時は……」


と、止めて欲しいと遠回しに言うコムイにシブシブながら了承した(勿論、エクソシストとして体を鍛えた者と戦いたくなかったと言うのもあるだろうが)


仕方なく廊下に布団を敷き始めたリンクを見ても神田は信用できず


「テメェがコイツに不埒なマネできねぇように、俺はコイツと寝る」


と言い放ち、その日からずっとアレンと寝ている。勿論、他人がドアの外で寝ているというのにアレンがただ一緒に寝る以上の事を許すわけもなく、神田は日々ストレスを募らせていた


「その内、人殺しちゃいそうね……
イリス姉様もそう思わない……姉様…?」


一人用のソファに座って紅茶を飲んでいるリナリーが話しかけるが、心ココに在らずと言う感じで手に持っているカップを見つめている


「あ…ごめん。
そうだな……じゃぁ、そうなる前に監視役を簀巻きにして、教団の崖から捨てればいいんじゃない?」


リナリーの言葉に返した答えに、その場に居た全員がギョッとしてイリスを見つめた


「「あ…姉貴?」」
「「ね…姉様?」」


四人の狼狽えたような声に、今度こそイリスがコチラに意識を向ける


「ん?
あっ!!そうだよね。
それじゃぁ、死体が発見されるからだめだな。
ん〜〜、そうだ!!地下水路に重りを付けて沈めよう」


この言葉を聞いたリンクは、ガタガタと震え談話室の外へ移動して監視をする事にしたのだった
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