琥珀

□Peridot〜sun stone〜
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急ぎ球団へ向かい、教団へ続く水路を進む途中ゴーレムから聞こえてきた情報は


『箱船奪回のために、ノアとアクマが教団内に現れ多くの死傷者が出ている』


そして


『第五研究室壊滅
アクマ研究室外に侵攻しました!
数は一体現在レベル4に進化した模様
第五研究室内のエクソシスとの安否は確認できません』


(マズい……)


その後に聞こえてきた"ヘブラスカ"の悲痛な声


それより問題だったのは‐‐‐‐


『まだ
リナリー・リーの力がある!』


(あっの!バカ!)


全く変わっていない、数年前行われていたエクソシスとをつくる人体実験を率先して教団に行わせていた男‐‐‐


(アレほど皇[コウ]が言ったの!!!)


数年前に前教皇が倒れ、現在の教皇に変わった時、全ての人体実験と名の付くモノ、そしてエクソシストに対する強制的なシンクロを全面に禁止した


『人類の生存も大切だが、個の命を尊ぶことを主は望まれている……。
エクソシストを兵器と見なす考えは改めよ……』


と、皇に諭されたはずなのに‐‐‐‐


(結局、あの男は!!!!)


船着き場へ着くなり急いで階段を駆け上がる
















「そうだ
リナリー・リー 所詮…逃げられはしないのだから…」

階段を駆け上がりもう少しで入り口だという時に聞こえてきたのは、ルベリエの声だった


「ごめんなさい…」















「謝る位なら、最初から謝るようなことはしないことだね」

階段を登り切っての第一声‐‐‐


「何故…此処に………」


苦々しいルベリエの呟く声など知ったものか──


「リナ…、久しぶり」

ポンと頭に手を乗せる


「もう良いから、医務室に戻ってみんなと逃げなさい……」


「ッ?!でも!」


「バカな!
エクソシストが戦わずしてどうする!!!
リナリー・リー!!教皇の為に戦え!!!」

ルベリエの言葉に小さくリナリーが震える


「バカな事言ってんのは、アンタの方でしょ!!
皇はそんなこと望んでない!!」


そろそろ殴って黙らせようとした時、後ろから足音がした


「!?、何で此処にいるんさ!!」


「ラビ…丁度、良かった。
リナを連れて逃げろ」


トンッとリナリーの肩を軽く押し、追いかけてきたラビに預ける


「では、誰が戦うというのだ!!!
ヘブラスカを犠牲にする気か!!!」


叫ぶなり、リナリーに近寄り腕を掴もうとした


「ゃだ……!」


リナリーの悲痛な声に耳を貸さず、連れて行こうとしたルベリエの喉元に冷たい何かが当てがわれる


「その手を離せ……」


自分のイノセンスの大鎌の刃を発動しない状態で当てがうが、発動しない状態でも僅かに力を込めれば首を跳ねることなど簡単だろう


「中央庁特別監察役の私に刃を向けるとは!!
背徳行為だぞ!!!」


ルベリエの言葉にクスッと嗤い


「背徳行為?
残念だけど、私に命令できるのは皇だけ。
お前なんかの命令最初っから聞く気なんて、コレッポチも無いな」


ゴーレムから雑音に混じって、切羽詰まった声が聞こえてくる
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