琥珀
□我が胸に咲きし純白(シロ)き花
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そこまで言うとイリスは俯き、ツラそうに‐‐‐泣きそうに顔を歪める
「何故・・・!!何故、中央庁も北米支部長も分からないんだ!!
人類存続の為に、絶対勝利しなければいけないのは、分かる!!
だが、たくさんの人の命を犠牲にして勝利したところで、そんなもの真の勝利とは言えない!!」
今にも泣きそうなほどに震える声───
「何故、学ばない!!
あんな・・多大な犠牲を出した実験で得られるものなど無いことに!!!」
過去に行われた人造使徒計画───
何年にも及ぶ計画で成功したのは、ただ一人───
ただ一人を生み出すために、どれだけの命が犠牲になったのか───
中央庁が押し進めた人造使徒計画に真っ向から異議を唱えたダルク一族
自分達の立場が危うくなるのも省みず計画中止を唱え続た
その訴えが漸く認められた頃には、成功例より遙かに多い犠牲の屍が積み上げられた後だった
悔しくて涙が滲む
「・・・神田の為に泣くのかね?」
「当たり前です。
ユウが何であれ、私の大事な「弟」である事に変わりはない」
ズゥ老の言葉に迷い無く答える