ソウサク 2

□お姫さま
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眠りに就いたお姫さま
だけど 誰も貴女の寝息を聞けない
ワガママ言ってゴメンだなんて
文字に込めた貴女の記憶

最期に届いた貴女の未来

王子さまなら 貴女の眠りを覚ませるの?

おとぎの世界の僕等なら
明日にはハッピーエンド

世界は廻って
時は刻まれ
太陽は昇る

そんな当たり前の毎日に
居なくなった貴女の事も
当たり前に訪れた

カボチャの馬車はお姫さまを
どこのお城に連れて行ったの?
側に居てくれてありがとなんて
薄い紙の上で呟いた声

最期に知った貴女の感情

王子さまなら 貴女の靴を拾えるの?

おとぎの世界の僕等なら
明日にはハッピーウエディング

雨が降ってた
信号が変わって
夜中の大通り

そんなちっぽけな毎日に
居なくなった貴女の事は
ちっぽけなんかじゃない


覚めないお姫さま
優しい顔して
「またね」って動いた気がした口元

暗い部屋
冷たい右手
掴む両手

貴女は寒がりだから
いつもみたいに 握り返した気がした

明るい夜空
霞む涙目
閉じた四つの瞳

二つは二度と開かないから
僕もずっと目を閉じた

迎えの馬車はいらない
これも魔法なら
僕は24時まで待つから

開いた僕の目
時計は28時
ぼんやりと明るい当たり前の世界

ちっぽけな夜明け前

王子さまは来なかった
馬車は迎えに来たみたい

最期までワガママなお姫さまだった

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