Dream
□正しいと思えるなら
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こんなはずじゃなかった
こんなことするつもりじゃなかった
ただ触れたかっただけ
それなのに
手を伸ばしたら
感情を抑えきれなくなった
あの頃と変わらない彼女の笑顔が
オレではない誰かに向けられているのかと思うと
腹立たしくてたまらない
「ちょっ……やめてよ」
「……」
「…は…なして」
「離さねえ」
久しぶりにオレの腕の中に彼女がいる
彼女の体温
感触
声
匂い
すべてが懐かしくて心地よい
「……どうして」
抵抗をしない彼女は
今にも消えそうな声を絞り出す
「やっと、忘れられそうだったのに……」
腕に何か生暖かいものが落ちた
2年前からオレは何も変わらない
彼女を泣かせてばかりだ
「お前は今、幸せか?」
「…うん」
「あいつと居て、幸せか?」
「幸せだよ」
あいつはきっと、こいつを泣かせたりはしないだろう
「だったら、行ってくれ」
オレの腕を払いのけて行ってくれ、頼むから
オレからはお前を離せない
だから
「行けないよ……」
振り返った彼女は
大粒の涙を流しながらも
悲しそうに笑っていた
「そんな顔の寿、放っておけないもん」
彼女がオレの頬に触れたときに初めて気がついた
泣いていたのは彼女だけじゃなかったということに
「あたしたち、どうしてうまくいかないのかな」
そう呟いた彼女を力いっぱい抱きしめて
衝動的に口づけた
彼女の唇は
2年前、彼女と別れるときと同じ
涙の味がした
fin.
お題提供 yowl様
このお題を見た時に三井が彼女を後ろから抱き締めてる構図がぱっと浮かんだので書かせてもらいました。
素敵なお題をありがとうございました。