Dream

□春の始まり恋の終わり
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ふいに三井の携帯が鳴る


「もしもし?ああ、まだ外。あ?酔ってねぇよ」


三井の携帯には不釣り合いな可愛らしいストラップが揺れる
きっとこれは彼女が選んだもので、電話の向こう側でも同じストラップが揺れているんだろう


少し話してから三井はじゃーな、と電話を切った


「彼女も同じ大学なんだって?よかったね」

「ああ、偶然な。あいつは実力で入ってるからオレなんかとは比べもんになんねぇけど」

「バスケも立派な実力だよ。頑張りが認められたんでしょ」


そう言うと三井は口ではそーかぁ?なんて言いながらも嬉しそうな表情を浮かべる

秋には本当にバスケ部に残ってて大丈夫だろうか、と真剣に悩んでいた三井だから推薦がもらえた時は相当嬉しかったんだろう

彼女も一緒なら尚更、ね



それにしても、自分でも彼女の話題をあまりにも自然に口に出せたことに驚いた

そう、これが気づいたこと


今までは彼女の話題なんて出せなかった

三井から彼女の名前が出るだけで
誰かに彼女とのことをからかわれている場面をみるだけで
どうしようもなく苦しかったのに



時間は確実に経過しているんだなぁ、と思う

きっと時間が経てば経つほど三井への想いはどんどん風化していくんだ



そしてそれは三井の彼女への想いが強ければ強いほど、きっと早い

そんなこと確認するまでもないんだけどね



「で、何?一緒に住んだりすんの?」

「っあぁ?!んなわけねぇだろっ?!」

「なんでー?彼女も一人暮らしでしょ?一緒に住んじゃえば家賃浮くじゃん」

「んなことできっか」

「えー?とか言って彼女の部屋に入り浸るつもりなんじゃないのー?」

「……まぁとりあえずバイト決めねぇとな」

「あ、図星なんだ」


だってオレ料理なんて作れねぇし、なんて言い訳する三井だけど
彼女のことちゃんと考えているんだ
バスケの練習も大変だろうにバイトも頑張るみたいだし


ほら、これだけ彼女にベタ惚れな三井を見せられたら、ねぇ?


逆に清々しいよ、未練が残らなくて済むから
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