S 最後の警官

□悪いのは君
3ページ/5ページ



『カウント…5,4,3,2,1…GO!』



香椎隊長のカウントの後、共に潜入していた神御蔵と突入。
武装はしていたが、計画の詰めが甘かった犯人グループは容易く確保となった。
その内の一人、主犯格の男が逃走を図り神御蔵と共に後を追う。
一瞬、彼女の姿が視界の端に映ったが怪我はしていない模様。
今は一刻も早い犯人の確保を。


























「確保!」



神御蔵の声が地下の駐車場に響く。
逃走ルートとして地下駐車場を選んだようだが、ここも無論包囲されており逃げ場はない。
白昼堂々、銀行強盗を行おうとした割には計画が杜撰過ぎてお粗末と言えよう。
何か裏でもっと大きな組織が動いているのではないかと勘繰ってしまう。



『蘇我、聞こえるか』
「はい」



連行される主犯格の男の後ろ姿を見ながら、大きな組織…まさか、正木か?と思案を巡らせていると香椎隊長から呼び掛けられる。
まだ何か動きがあったのだろうか。



『すまんが人質の解放に時間がかかっているようなんだ。
人手が足りないからお前も向かってくれ』
「了解しました」
『犯人の盾にされていた女性に話を聞く必要がある。その女性の保護を頼む』
「………は?」



犯人が確保されている以上、人質から話を聞く必要はほとんどない。
香椎隊長は盾になったのが桜月だと知っている。
これは便宜を図られているのだろうか。
逡巡していると無線の向こうから賑々しい声が飛んで来る。



『こういう時に行かねーと逃げられっぺよ!』
「さすがバツイチ、言葉の重みが違いますね!」
『一號、テメェ後で覚えとけ!』
『まぁ…そういう訳だ。彼女も怖い思いをしたんだ。側についてやれ』
「………はい」



ニヤケ顔で肩を叩いてくる神御蔵の手を払い退け、銀行内へと足を向ける。
直情径行した桜月に少し灸を据えてやらねばならないとは思っていたのでちょうど良かったかもしれない。

_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ