MIU404

□ご一緒に
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「伊吹さぁん……」
「ん?あれ、桜月ちゃん?大丈夫?」



まだ帰れないなんて意気込んで2軒目にお付き合いしたものの、既に大将の店でもビールを飲んでいたからか居酒屋で乾杯に頼んだ生ビールのジョッキを半分も空ける前にすっかり酔いが回ってしまっていた。

そもそも伊吹さんとの距離が近すぎて緊張してしまったのが一番の原因だと思う。
入った駅前の居酒屋はそれなりに賑わっていてテーブル席は満席でカウンターなら、と店員に言われるままにカウンター席へ。
伊吹さんと並んで座るなんて初めてのことで。
距離は近いし、声も近いし、何ならたまに肩は触れ合うし。
これで緊張するなと言う方が無理な話。

緊張を解す為と、乾杯に頼んだビールのジョッキを煽るようにして飲んだのがいけなかった。



「伊吹さん……何なんですか、何で伊吹さんはそんな感じなんですか…!」
「桜月ちゃん、案外絡み上戸?」
「軽ーくご飯なんて誘ってくれちゃって、こっちは仕事中のちょっとしたことでもドキドキしてるのにー!」
「桜月ちゃん?」
「伊吹藍のばーか……」



言いたいことは山程あるのに目を開けていられない。
最後にとんでもないことを口走った気がするけど、もう知らない。




























「おーい、桜月ちゃん?」
「…………」



寝ちゃったか。
確かに結構なペースで飲んでたもんなぁ。
ちょっと寝かして家まで送るか。



「ばか……」
「はいはい、バカですよー」



普段の姿とは打って変わったこの感じ、いいねぇ〜。
飲ませ過ぎるつもりはなかったけど、素の桜月ちゃんに会えたって感じ?
悪くない。寧ろいい。
この寝顔を肴にもう三杯くらいビール行けそう。

そういえば何で誘ったのか分かってなかったみたいだけど、理由なんてない。
ただ一緒にご飯食べたかっただけ。
分駐所で仕事する彼女と基本的に常にパトロールに出てる俺とでは接点がないから。
それなら自分で接点作っちゃおうって思いついたから誘ってみた。
そしたら案外いい顔見せてくれるじゃん?



「もっと別な顔も見たいけど、それはまた今度ってことで」



4機捜は始まったばかり。
まだまだ時間はたくさんある。


*ご一緒に*
(おーい、そろそろ帰るぞー)
(うぅ…はい……)
(ほい、水飲んで)
(すみません……そういえばさっき、女将さんと何話したんですか…?)
(んー?『また二人で食べに来てね』って言われただけー)
(そう、ですか…)
(だからまた一緒に行こーね)
(、はいっ…)


fin...


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