コウノドリ

□会えない時間が愛を育むなんていうけれど
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目を真っ赤にした彼女が落ち着いて腕の中で少しずつ、かなり恥ずかしそうに再び言葉を紡ぎ始めたのは、しばらく経ってからのこと。



「…ごめん、サクラ。
会わなかったのは、たぶんサクラにとっては凄くどうでもいい理由。
でも私が、嫌だったの」
「……?」
「その、……」



そんなに言いにくいことなんだろうか、仕事でストレスを溜め込んだ時以外は基本的に何でも言葉にしてくるのに。
こういう時、無理に聞き出そうとすれば口を閉ざしてしまうのは分かっているので、彼女の口から話してくれるのを待つ。



「体重が、増えちゃって」
「へっ?」

「最近、色々作ってたでしょ?
職場に持って行ったしサクラにも食べてもらったんだけど、それでも余ってて夜に仕事しながら食べてたら3kgも増えてて…」

「えーっと…」
「せめてね、増えた分落としてから会おうと思ってたんだけど…増えるのは簡単なくせになかなか減らなくて……やっと今朝、元の体重まで戻ったの」
「…えっと、桜月?」
「うん?」
「僕の悩んだ時間、返して?」



本当にごめんね、と眉を下げて申し訳なさそうに謝られれば先程までの暗い感情も吹き飛んでしまう。
だが、このまま許してしまうのも……ねぇ…。



「桜月は少し体重増えてもいいと思うよ」
「そんなことない!油断するとすぐ増えちゃって……って、サクラ?何を…っ、」
「んー…すごく頑張ったみたいだから、その確認と」
「っん、…ちょっと、」



足の間に座っていた彼女の服の裾から手を忍び入れれば、身を捩りながら服の上から手の動きを制してくる。
これは想定内。



「あとは、急に一ヶ月も顔を見せてくれなかった、お仕置き…かな?」
「かな、って…やっ……ご飯、冷めちゃうっ」
「うん、後でいただくよ」
「サクラっ、」
「まずはデザートからいただきます」



これ以上、反論できないように口付けて言葉を塞ぐ。
深く口付ければ自分の手を押さえていた手から力が抜けていくのが分かる。
一ヶ月分の空白、まずは埋めてもらおうか。



*会えない時間が愛を育むなんていうけれど*
(も…むり……)
(うん、お腹空いたね)
(むり…おきあがれない)
(でもさ、この辺り確かにくびれたね)
(うぅ…もう、ほんとに)
(ん?僕はまだいけるよ?)
((なんなの、この底なしは…!!))


fin...


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