MIU404

□未来予想
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「え、ゆたかくんを?」
『そうなんだよ〜。ハムちゃんがさ、また保育園か幼稚園で働きたいんだって。
で、面接あるんだけど、ゆたかの学校が午前中で終わるからハムちゃんが帰るまで預かって欲しいって』



相も変わらず24時間勤務が終わっても帰って来ないと思っていたら、そんなことになっていたらしい。
長くても夕方までだろうし、うちに連れて来るのは一向に構わないけれど、



「ゆたかくん、志摩さんに懐いてるイメージだったけど……」
『志摩はさ〜、ハムちゃんのボディわんこで面接の送迎〜』
「ボディ、わんこ?
…………もしかしてボディガードのこと言ってる?」
『あ、そうそう。ガードわんこ』
「ボディ残してどうするのよ……」
『志摩と同じこと言うなって〜!とりあえずこれから行くから!
ゆたか、給食なかったから昼飯よろしく!』
「りょーかい」



さて、まさかここでお昼ごはん問題が浮上するとは。
自分一人のつもりだったから簡単に済ませるつもりだったけれど、ゆたかくんがいるならばそうもいかない。
あと、一応藍も。
子どもにはしっかりと食べさせてあげたいし、おそらく舌の肥えているであろうゆたかくんに下手なものは食べさせられない。

冷蔵庫の野菜室から覗いてみれば、ピーマンと玉ねぎが1個ずつ、にんじん1/2個、じゃがいも2個。
チルドにウインナー1袋、ベーコンが1パック。
調味料類は一通り揃っている。
本当は今日、藍が帰って来たら午後にでも買い物に出かけるつもりでいたから冷蔵庫の中身は正直乏しい。

ご飯は炊けばあるけれど、きっとそんな時間はないはず。



「パスタはある……よし、」



手軽に作れて子ども向けのメニュー。
好きなもの、苦手なものくらい聞いておけば良かったと思っても後の祭り。
でも、桔梗さんなら好き嫌いとかなく育てていそう、という希望的観測に基づいてお昼ごはんミッションをスタートさせよう。
子どもの足とは言え、藍が一緒ならきっとそれなりに早く到着するだろう。









































「たっだいま〜」
「こんにちは」
「こんにちは、ゆたかくん。藍、おかえり」
「あー、腹へったー。昼飯、何〜?」
「外から帰ったら手洗いだよー!ご飯の前も!」
「あははっ、ゆたかくん正解。
ほら、藍。ゆたかくんと手洗いしてきて」



小学校低学年のはずなのに藍よりしっかりしてるかも、なんて内心笑いながら今出来上がったばかりのお昼ごはんをそれぞれ皿に盛り付ける。
ナポリタンとジャーマンポテト、そしてコンソメスープ。
我ながら無難なメニューだとは思うけれど、子ども相手に奇をてらう必要はないと判断。
栄養の偏りはこの際、目を瞑ってもらおう。



「うわ、今日も美味そ〜」
「午後から買い物行く予定だったから有り合わせでごめんね。
ゆたかくん、苦手なものとかあったら言ってね?」
「大丈夫、いただきます!」



何ていい子だろう……桔梗さんとハムちゃんの躾が行き届いているんだろうなぁ、なんてしみじみしてしまう。
ゆたかくんの隣に座る藍もゆたかくんの挨拶に倣って、いただきますと手を合わせてフォークを手に取った。
食べたらどうしようかな、子どもが遊びに来るなんて初めてのことだし、何か遊べる物なんてあったかな。



「ゆたか、食ったら公園でサッカーでもやるか?」
「宿題終わったら遊んであげるよ!」
「おっ、上から来るスタイル〜いいね〜」



じゃあ宿題見てやるよ、とゆたかくんの頭をわしわし撫でている藍の姿に何とも胸が温かくなる気がした。


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