MIU404

□どんな君でも
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外で飲むのもいいけどたまには家で二人でゆっくり飲みたいな、なんて可愛いこと言われて断る理由なんてないじゃん?
おうち居酒屋の準備するから早く帰って来てね、の言葉通り当番勤務が終わって速攻で帰れば午前中なのに部屋中に美味そうな匂いが溢れてた。



「お、早ーい」
「あったり前じゃーん?ほい、お酒」
「ありがとー!流石は藍、私の好きなやつ分かってる〜」



料理の手を止めて俺が持ってた袋を覗き込む桜月の表情がめちゃめちゃきゅるっとしてて、めちゃめちゃきゅんきゅんする。
帰りにお酒買ってきて、と頼まれてたのを忘れてアパートの前まで来てたのは内緒。
そのことに気づいて慌てて桜月の好きなチューハイと俺のビールをたくさん買いに行って、今帰宅。
冷蔵庫に缶を入れにキッチンに行けば並んでいるのは俺の好きな物ばかり。



「ん?どうかした?」
「んーん?俺の好きなのばっかりだから、さすが桜月分かってるぅ〜と思って?」



桜月の言い方を真似して言えば、それに気づいたみたいで『ばかじゃないの』と恥ずかしそう。
そんなところも可愛い。
自分でもニヤニヤしてるのが分かる。
早く缶入れちゃってシャワー浴びて来なよ、と俺に向かって言いながら手を動かし続ける桜月。
よしよし、こっちは見てないな。
陣馬さんから貰った瓶もこっそり冷蔵庫の中に隠しておこ。



「藍、どうする?仮眠してからにする?」
「んー、昨日ちゃんと仮眠取れたから大丈夫〜。それにこんな美味そうなの、すぐ食いたいし」
「はい、じゃあシャワーどうぞ」



すぐ食べたいと言った俺の言葉を聞いて揚げ物を始めたらしい桜月。
いつものハグをしたいところだけど揚げ物の時は絶対ダメって前に言われたから、残念だけど後での楽しみに取っておこう。




































「お待たせ〜」
「ん、こっちも大体準備できたよ〜」
「うわ、ちょー美味そう〜」



唐揚げにチョレギサラダ、豚の角煮、たこわさに枝豆、だし巻き卵、何かまだまだ出て来るっぽい。



「すげー……てか、これ準備大変じゃなかった?」
「んー?昨日の夜からのんびり準備してから全然?
楽しみだったしね〜」
「そっかそっか〜、俺と飲むの楽しみだったか〜」
「おうち居酒屋が、ね」
「またそういうこと言う〜」



取皿と箸、それに冷やしたコップを持って来た桜月が定位置に座る。
俺も何か手伝おうと思ったら、もうおしまいって言われた。
仕事が終わって今日と明日は完全オフ。
テーブルに乗り切らないくらいの桜月の手料理。
これはもう飲むしかないでしょ。



「あ、飲み物忘れてた」
「いいっていいって、俺取って来るから。料理頑張った桜月は座ってて」



立ち上がりかけた桜月を止めて冷蔵庫にビールとチューハイを取りに行く。
冷蔵庫の中にはまだ料理が入ってる。どんだけ作ってくれたんだろ?



「ほい、お待たせ」
「ありがとー。じゃあ、はい。注いであげる」
「おっ、さんきゅー」



お互いに酌をして乾杯、とグラスを合わせる。
仕事終わりに昼間から飲むビール最高!
目の前に桜月がいて、もっと最高!



「さーて、何から食おっかな〜」
「お腹すいた〜」
「あれ、桜月食ってないの?」
「んー……味見程度には食べたけど、せっかく藍とおうち居酒屋するんだからあんまり食べられないのも嫌だなって思って朝ごはん食べてない」
「おっ、じゃあ藍ちゃんが取り分けてやるよ〜」
「作ったの私だけどね」
「まぁまぁそういう細かいことは気にしない気にしない〜」



そう言いながらお願い、と取皿を差し出してくる桜月。
普段はツンなのに急にデレて甘えてくるとこが可愛い。

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