MIU404

□看病はお任せあれ
1ページ/2ページ


『ごめん、今日部屋来ないで』



当番勤務明けを見計らったように短いLIMEが届いた。
用件だけが書かれた、シンプルな内容。



「えぇー……?」
「どうした?」
「志摩〜、桜月が部屋に来るなって〜」
「ご愁傷様だな」



さっさと帰り支度をした志摩は荷物を持って『お疲れ』と分駐所を出て行った。
俺と桜月のことになんて興味がなさそう。
何だよ、相棒。もう少し話聞いてくれてもいいじゃん。

でも、こういう言い方をする時は大体桜月に何かあった時。
ちゃんとした理由がある時はちゃんと言うし、出かけるってだけなら俺は部屋にいてもいい訳だし。
よし、突撃お宅訪問〜。








































よし、到着っと。
ピンポンを鳴らす。
……出て来ない。あれ、もしかしてやっぱり出かけてる?
んー……でもあの感じだとたぶん……。

何回か鳴らしても出て来ないから合鍵使って中に入る。
そしたらしんどそうな体を引きずって玄関に向かってくる桜月を発見。



「……え、……」
「突撃お宅訪問〜」
「あ、い、ちゃん……来ないでって……」



俺の顔を見て驚いた顔の桜月。
来るなって言われたのに来てるんだから当たり前と言えば当たり前だろうけど、あんな気になるLIME届いたら逆に来たくなっちゃうじゃん?
今にも崩れ落ちそうな桜月の体を支えれば、めちゃめちゃ体が熱い。
いつもは心配になるくらいに体温低いのに。



「やっぱ調子悪い。ほらほら、ベッド行くよ〜」
「ちょ、……」



そういや元々体温低いと熱出た時しんどいって何か聞いたことあるわ〜。
そんなこと考えながら桜月を抱えてベッドに連れて行く。
いつもならお姫さま抱っこなんて絶対嫌がるのによっぽど辛いのか、くたーっとして体を預けてくる。
なーんでこういう時に頼ってくれないかなー……。
ベッドに寝かせて布団を掛けてやれば、しんどそうに息を吐く桜月。
それでも目を開けて、文句ありげに俺を睨む。
まぁ少しは元気がありそうで良かった。



「来ないでって、言ったのに……」
「風邪移したら悪いだろうな〜って考えたんだろ?
気にすんなって〜、俺は不死身の男、伊吹あ〜い!」



親指を立てて笑って見せれば、色々と言いたいことがあるけど体調悪くてもうどうでもいいや、って感じの桜月が深い溜め息を吐いてベッドに沈み込んだ。



「……はぁ、」
「だから気にしなくていーの。病院は?薬は?」
「病院は、昨日行った……風邪だって。薬も、もらってきた」



薬はもらってきたけど何か食べる気力もなくてとにかく寝てたらしい。
やっぱ来て正解。
薬飲まないと治んねーじゃん。



「ちょっと待ってて。食べるモン作ってくるから」
「ん……」



棚から冷え冷えシートを出して桜月のおでこに貼る。
半分寝落ちしかけてるけど、一応声をかけてからキッチンへ。
熱、どのくらいあるんだろ。
起きたら測って解熱剤も飲ませるかなー。

よし、とりあえず何か作るか。


_
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ