S 最後の警官
□悪いのは君
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「蘇我さーん、受付に蘇我さんに届け物持ってきた人が来ててちょうど会ったからもらってきましたよ」
「……そうか」
いつにも増して不機嫌そうな蘇我に首を傾げながら手にしていた荷物を蘇我のデスク脇に置くイルマ。
置かれた荷物を一瞥してからスマホを片手に部屋を出て行った蘇我の後ろ姿をニヤニヤしながら目で追いかけているのは約二名。
蘇我の姿が見えなくなったところで、一部始終を見ていた一號がニヤニヤしながら口を開いた。
「イルマ、それ持って来たのってちょっと小柄で可愛い感じの子だったろ」
「一號っち、何で分かるの?!」
「その子、蘇我のコレだわ」
古橋がこれまたニヤニヤしながら小指を立てている。
表現が古い、と思うイルマだったが、それ以上に蘇我にそういう存在がいることに驚きだった。
道理で…同じ部署なので荷物預かります、と声をかけた時の表情が驚きが全面に押し出されたものだったのを思い出した。
そうと知っていれば荷物は預からずに蘇我さんにそのまま繋いだのに、とも思うイルマであった。
一方、スマホを片手に出て行った蘇我はメッセージアプリを開いていた。
予想通り、メッセージが1件。
《荷物、同じ部署だって人が通りかかったからお願いしちゃった。
会えなかったのは残念だけどミッションクリア!
銀行寄ってから帰るね。》
電話をかけるが呼出音のまま。
移動中なのだろう、普段ならば3コール以内に出る彼女がここまで電話に出ないのはそうそうあることではない。
仕方なしに再びメッセージアプリを開いて
《荷物受け取った。出られず悪かった。
気をつけて帰ってくれ》
と端的にメッセージを送る。
今日こそは彼女の待つ部屋へ帰る為にと、仕事の手を普段以上に早めることにした。
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