コウノドリ

□会えない時間が愛を育むなんていうけれど
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《ごめん!しばらく会えない》



当直の合間に私用のスマホを開けば、端的なメールが届いていた。
夕方、少し落ち着いたところで明日は当直明けだから彼女の仕事が終わってから食事でもどうかと誘ったメールに対しての返事だった。
仕事中なので表情には出さないが非常に残念である。

彼女も彼女で忙しい人だ。
そういうことはこれまでに何度もあった。
そもそも自分の方が仕事でキャンセルしてきた回数の方が多いというのに彼女に断られて落ち込むのは筋違いだ。

仕方がない、明日は帰ったらとりあえず一休みして久しぶりにピアノに向かおう。
最近、曲作りの方に手を出していない。
賢ちゃんから新曲を急かすメールも届いていた。



「よし、仕事しよう」



雑念を追い払うように、しばらく放置していた書類の山を片付けることにした。


















一方、その頃。
自宅に帰っていた桜月は動画サイトを見ながら体を動かしていた。
最近、何かと仕事が多くて時間を作っては趣味の料理や製菓に勤しむことが増えていた。
作った分は食べなければ勿体無い訳で。
基本的に一人で片付けるが、たまに職場に持って行ったり、隣人のお弁当や差し入れにしたりしていた。
それでもなかなか減らなくて、持ち帰りの仕事の合間に摘んでいたら、久しぶりに乗った体重計がかつてない記録を打ち出してくれた。

これは、非常にマズい。
流石に体を動かさないとこれは体重が落ちない。
せめて元の体重に戻るまでは彼に会うのは避けたい。
そう思っていた矢先に明日、仕事終わりに食事に誘われてしまった。
何て間の悪い……今は仕事も忙しくないし、いつもなら二つ返事で行くところだが、今回は涙を飲んでお断りしよう。
ごめんね、サクラ……ダイエット頑張るから…少しだけ待ってて。


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