コウノドリ

□この手を繋いだままで
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そんな約束をしてから1ヶ月は経っただろうか。
ようやく休みが重なって、というか私は休みだがサクラは当直明けで。
夕方に彼のいう『ちゃんとしたお店』に行くことになっていた。

どんな店に行くのか、何を食べるのか聞いても教えてくれず、ただ一言、

《オシャレしてきてね》

と、だけ。
午前中は出かけるつもりだったので、14時に駅前で待ち合わせをして、少しブラブラしてから食事をするという。
当直明けならば夕方に待ち合わせでも良い、と言ったのだが少しの時間だが一緒に出かけたいという。

この前、彼の同僚達と飲んだ時に言われたことをまだ気にしているようだ。
こちらとしては全く気にしていないのだが、今回は彼のプランに乗ってあげよう。



「……あ、雨」



天気予報で昼過ぎから小さな雨マークがついていたが、小雨程度だと思っていたら雨粒が意外と大きい。
バッグに折り畳み傘を入れておいて良かった。

時間を見ると約束の時間まであと1時間ほど。
少し早いが駅に向かってもいい。
時間を潰すのはどこでだってできる。




































「………これは…寝てる、かな」



約束の時間を30分過ぎた。
一応、約束の15分前に駅のカフェにいることはメールしたが反応がなかった。
電話をしてもいいが、当直明けで疲れている彼を起こすのも忍びない。

さて、どうしようか。
確か店の予約は18時と言っていた。
17時まで寝かせておいても十分間に合うと思うけれど……様子を見に行っておこうかな。
雨はまだ降り続いている。
折り畳み傘ではなく普通の傘を取りに帰るついでに。


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