コウノドリ

□飲み過ぎにはご注意を
1ページ/2ページ


ついに産科チームに僕らが付き合っていることがバレてしまった。
というより元々誰かに話すつもりはなかったのだが、ひょんなことから小松さんに知られて、そこから当然のことながら下屋、今橋先生、そして何故か加瀬先生にまで話が伝わってしまった。

下屋と同期で仲のいい桜月。
その彼氏が僕となると質問攻めに遭うのは必須で。

仕事終わりにいつものぶーやんに半ば引きずるように連れて行かれて。
ちなみに四宮は当直だと逃げた。



「何で鴻鳥先生なの〜!桜月ー!」
「何でと言われても…」
「こんな女心の欠片も分かってないような男でいいの?!桜月先生!」
「いや、あの…」



下屋と小松さんに両脇を固められてテーブル席で延々と同じようなことを言われて続けている。
酷い言われようなのは分かっているが、たぶん僕が反論すれば火に油状態なのは目に見えている。

少し離れたカウンター席からどうしようかとあぐねいていたら、今橋先生と加瀬先生に両脇を固められた。
おっと、こちらもか。



「鴻鳥先生も隅に置けねぇなぁ?」
「僕は鴻鳥先生と高宮先生、いいカップルだと思いますよ」
「今橋先生……!」
「でも随分と若いの捕まえたな。話合わねぇんじゃねーの?」
「…そんなこと、ないですよ?」



ジェネレーションギャップが全くないとは言わない。
特に僕なんて流行りには疎いし、休みの日だって下手すると部屋に篭もって医学書を読むかピアノを弾くか。
流行りに疎いどころかそもそもの流行りを知らない。

いや、でも彼女だって休みの日は生活必需品の買い物以外はほとんど外に出ないと言っていたし、似たようなもんじゃないか。



「今日は飲むぞー!」
「加江はオンコールでしょ。四宮先生に怒られるよ」
「うぅ〜……」
「じゃあ下屋先生の分まで私達で飲むぞー!」
「小松さん…あの、ちょっと…ペース早いです……」



グラスを空にすればすぐにまたアルコールを注がれて、いつもよりもだいぶ早いペースな気がする。
先輩に注がれたら飲まないと失礼、と思っているのかもしれないけれど、自分のペースは守ってもらいたい。



「小松さん、高宮先生が潰れちゃいますよ」
「桜月先生、大丈夫よね〜?」
「は、い……」
「いやいや、アルハラだろそれ。急性アル中なんて出すなよ」
「うっ…」
「……鴻鳥先生、高宮先生を送ってあげてください」
「すみません、お先に失礼します」
「桜月〜また明日ね!」
「お疲れ様です……加江、また明日…」



加瀬先生からアルハラを指摘されて小松さんのビールを注ぐ手が止まった隙に今橋先生から助け舟を出されて、首まで真っ赤な桜月の脇を抱えて店を出る。

『送り狼なんて許さないぞー!』という小松さんの声を背中で受けたのは聞かなかったことにしよう。

_
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ