コウノドリ

□異性間交流会
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「自己紹介しましょうか!私、南 優花でーす」
「森野 深雪でーす」
「……高宮桜月、です」
「私達、すぐ近くの保育園で働いてます〜」



本当に合コンらしい。
オシャレなバルに連れて来られて、向かい合わせで座らせられた。
……ここで彼氏がいます、なんて言ったら場が凍るだろうな…。
別に出会いは求めていないけれど、美味しいご飯が出ると聞いて釣られた訳ではない。
合コンとは言え、せっかく誘ってくれたのだから無下に断るのも申し訳がない。



「赤西吾郎です、そこのペルソナ総合医療センターで研修医やってます」
「白川領です、同じくペルソナの新生児科医です。あ、僕は研修医じゃないです」
「黄瀬晃司です。僕はペルソナじゃないんですけど、赤西の大学の友達です。
あと森野とは高校の同級生、ね」



まさかのペルソナ………!!
新生児科ってサクラから聞いたことがある…産科で出産したら生まれた赤ちゃんは新生児科に行くんだよね……うわ、絶対にサクラの知り合い。



「赤西さんと黄瀬さんは研修医なんですか〜?」
「そうです、これから専門にする科を決めるんですけど、僕は産科に行こうと思ってて」
「何だ、吾郎は結局産科に落ち着くのか」
「結局って?」
「コイツの実家、産婦人科だからさ。前は絶対ならないって言ってたのに」
「いいだろ、ペルソナの産科で研修してやりたくなったんだよ」



彼らに興味はないけれど、話の内容には興味がある。
もしかしたら彼の話も出てくるかもしれない。
運ばれてきた大皿料理を小皿に取り分けながら会話に聞き耳を立ててしまう。



「あ、すみません。ありがとうございます」
「あぁ…いえ、こちらこそ勝手に取り分けちゃってすみません」
「いえ、助かります。……高宮さんって、もしかして急に呼ばれました?」
「えっ…」



確か…白川さん、と言っただろうか。
図星をつかれてしまい、目が泳ぐのが自分でも分かる。
そんなに露骨に態度に出したつもりはなかったのだけれども。



「さっき待ち合わせの時、そんな雰囲気だったので」
「あぁー…すみません、ただ食事に誘われただけだったので、まさか…その、合コンみたいな感じだとは思ってなくて」
「ですよね。でも、僕は高宮さんが来てくれて良かったです」
「えっ」
「いや…何というか他のお二人はお若くて」



言いたいことは何となく分かる。
どうやら白川さんと私が同じ年で他の4人が同学年。
少しの差ではあるけれど、何となく壁があるような気がする。



「あの、もし良かったら連絡先交換しませんか?」



このタイミングになるとは思っていなかった。
これはもう、逃げられない。


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