脳 内 旅 行 記【c】

□091010 ナイフ
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日中、駅に向かって歩いていたら後ろから知らないおばさんに声をかけられた。

「今からあんたを切り刻むよ」

『へ?!』

『何を言ってるの この人…』
と思っておばさんの手元を見ると鋭利なナイフをこちらに向けて握っていた。

私は焦って
『え?なんで私なの?他の人じゃダメなの?』と言った。




「そうだねぇ」
と知らないおばさんは辺りを見渡した。


『あと、なんで殺すの?気持ちを落ち着けて帰りなよ』と私は言った。


「私はあんたを選んだんだよ。
クリスマスのプレゼントとして切り刻んであげる」

そう言うと にんまり微笑んだ。


心の中で
『クリスマスのプレゼント?嬉しくない』
と思った。

頭の変なおばさんだ。

怖くなってその辺の人にぶつかりながら駅の中に逃げ込んだ。

早く走れない。

駅長っぽい人に助けを求めて私は近くの店の中へ隠れた。



数分して

「見つけたぁ」

と言われ顔をあげると さっきのおばさんがいた。


『なんでここにいる事がわかったの?』と聞いたら

「あの人に教えてもらったんだよ」と指差した先には、さっきの駅員がいた。

私と目が合うと すぐに目をそらした。


なにがなんだかわからない。


なんかおかしい…

普通警察呼ぶよな


と思っていたら、『私は夢の中にいる』
と気付いた。


「もう、勘忍して切り刻まれな」と言われた。


『夢だからいいや』と思ってナイフを見ると、さっき見た時よりも切れ味の悪そうなナマクラの金属になっていた。


『切り刻んでいいよ、そのナイフで切れるなら』



夢はここで終わり、目が覚めた。
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