別色のセカイ
□可哀相な女の子
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一人の女の子がいました。
女の子は小説の中の人間でした。
小説の中の人間は、それを書く人によって動かされます。
ある時、少女は殺されました。殺される描写を書かれたからです。
少女は死にたくないと思いました。しかし、そう書かれてしまったのだから仕方ありません。
ところが、何を思ったのか書き手は殺す描写を綺麗さっぱり消しました。
少女は生き返りました。また生きられると喜びました。
しかし――
その後も、書き手は何度も彼女を殺しました。
そして、何度もその部分を消しました。
少女は何度も死に――
何度も生き返りました。
初めこそ喜んでいた彼女ですが、だんだん辛くなってきました。
生き返りたくないと、思いました。
それでも、彼女の思いに反してこの無限ループは続きます。
書き手が満足するまで、永久に続くのです。
あぁ、なんて残酷な世界!
かく云う私も、その書き手のひとりなのです。
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