短編集

□”桜”それとも”菊”
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「……沖田先生」

不穏の影は、今にも雷を落としそうな神谷さん。
総司はその声のほうに、油を差していないカラクリ人形の様な、ぎこちない動きで向いた。

「今日もイイ天気ですね〜」
総司、毎度ながらそんなんじゃ誤魔化せないぞ。

「昨夜…どうして外出なさったんですか?」
神谷さんの笑顔が、今日は一段と怖い…。
頼むから私をしまってくれ、総司。

「え〜と…散歩がしたくって」
あぁもぅ。
目が泳いでるよ。
もっとちゃんといい訳考えろよな。
ここでばれちゃったら…。

「ならどうして、お1人で行ったんです!?副長も2,3人で行動しろと仰ってるじゃないですか!!」
さすがだ。
神谷さんはいつもいいところを突いてくる。

って、オイッ!!
私に助けを求めるな。
〜〜〜〜っ。
いつものあの手を使えっ。
あれなら何億回使っても神谷さんには効く。

さぁ立て、立つんだ総司(笑)

「神谷さん…」
そう、最初はゆったり。
「なっなんですか!?」
よしっ、神谷さんが後ずさった。
繰り出せ、お前の最高の技を(対神谷用)

ぎゅっ

「なななな何を…!!?」
「心配してくれてありがとうございます。これからは気をつけます。行くときは神谷さんと一緒です」

総司、また腕を上げたな。
まさか『耳元で囁く』の技まで習得していたなんて。
神谷さんが失神寸前になってる。

「神谷さんお出かけしましょ」
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