Story

□雨模様様弐万打キリリク小説
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暗闇に淡い光が1つ。
ぼんやりと揺れている。




「……ちょっと遅くなってしまいましたね…あぁ〜副長に怒られるのやだな…‖」
「大丈夫でしょ。こんな日にちょっと帰るのが遅くなったからって、誰も何も言いませんよ〜…もう出来上がってる頃じゃないですか?」
「…そっちじゃなくて、足の方…」
「あぁ、そっちは怒鳴られますね、きっと♪」
「…〜っ‖」



――今日はx'masイヴ
朝から雪がぱらぱら舞っていたが、夕方から酷くなり始めた。
今では吹雪いている。

総司とセイは、昼巡察が終わった後、イヴだから・といつもより遠出して、甘味を思う存分楽しんできた。
まさか吹雪になるとも思わず、帰るのも随分遅くなってしまった。
辺りは漆黒の暗闇、もうすぐ五つの鐘がなるだろう。


「でも、こんな中を何とか無事に帰れて良かったですよね〜」
「無事じゃないでしょ神谷さん!2回も転んだ挙句、足まで挫って!」
「大丈夫ですよっ!軽くやっちゃっただけですから!」
「…まったく、貴女って人は……」

そう言いながら、総司は自分の背中に乗っている人物に気付かれないよう、小さく微笑んだ。
着物越しに伝わってくる心地良い熱が、冷たい雪の世界で、とても幸せに感じられて。
セイが足を痛めてるのに不謹慎だ・と軽く自分を叱咤した総司の後ろで、セイもまた怪我したくせに、その広い背中に幸せを感じていたのだった。
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