L-Kaze

□第2章 覚悟の時
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法限は悩んでいた。

巡察の途中で抜けて来た総司を屯所に帰し、セイの診察を終えて約1刻。
事の真実を総司に、新選組に言うべきか、否か。
いや、言わねばならぬことだ…。
今だ目覚めぬセイを見て、決心をした。
文を書くために紙を広げ、筆を持ち、書き始めた。



***
「沖田先生、土方副長が戻ったらすぐ副長室に来るように、と言っておられました。」
「うわっ!?あっ、はい、わかりました。」
セイのことを考えていたため、門番の人に声を掛けられ、驚いてしまった。
驚いた自分がなんとも滑稽で、総司は急いでその場から離れていった。
その後ろ姿を不思議な顔をして門番は見ていた。


「土方さん、総司です。ただいま戻りました。」
「……入れ。」
副長室の前で帰って来たことをつげると、中からいつもの不機嫌そうな声が返ってきた。
何故かその声は総司を安心させた。
そして、今までの不安を消してくれた気がした。
そのためか、襖を開けた時には、いつもの笑顔を向けることができた。
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