L-Kaze
□第3章 想いのすれ違い
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(この症状は…。)
目が覚めて、倒れた時の事を振り返る。
今まで無かった『血』によっての気持ち悪さ。
医学の心得のあるセイにわからないはずはなかった。
その可能性を確信に変えたのは、お馬がここ2月きてない事実。
(血を見ての気持ち悪さは、つまり『つわり』!?)
(私…妊娠したんだ!!)
セイは心躍る気分だった。
(沖田先生は何と言ってくれるかなぁ)
考えただけで自然と顔が赤くなる。
だが、その顔がみるみるうちに青ざめていく。
(沖田先生とはもう一緒にいれない…。)
(沖田先生には女子も赤子も迷惑なだけなんだ…。)
(あの人は己の誠に生きるんだ…。私のせいで曲げさせてはダメなんだ。)
涙で視界が歪む。
泣かないよう目に力を入れた。
そんな行為も虚しく、涙は頬を伝っていった。