novel1

□甘い悪夢
1ページ/2ページ



「眠れないの。」


遠慮がちなノックの後にか細い声が聞こえたのは、今から幾分前の事だろう。
微かに震える小さな肩を僕の両の腕が包み込んでいた。

彼女は目を瞑ったまま僕の胸へと頭をつけて、小さく寝息をたてている。


「眠れなかったんじゃなかったのかい?」

返事など返って来ないのは判りきっている。
しかし問わずにはいられない。
なぜこんなにも無防備なのだろう。
君は僕を買いかぶり過ぎているよ………。
こんな君を前にして、男が欲情しないことが有り得ようか。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ