novel1
□甘い悪夢
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「眠れないの。」
遠慮がちなノックの後にか細い声が聞こえたのは、今から幾分前の事だろう。
微かに震える小さな肩を僕の両の腕が包み込んでいた。
彼女は目を瞑ったまま僕の胸へと頭をつけて、小さく寝息をたてている。
「眠れなかったんじゃなかったのかい?」
返事など返って来ないのは判りきっている。
しかし問わずにはいられない。
なぜこんなにも無防備なのだろう。
君は僕を買いかぶり過ぎているよ………。
こんな君を前にして、男が欲情しないことが有り得ようか。