novel1

□風邪引き御姫樣
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コン、……っコンッ


隣で本を読んでいた彼女は可愛らしく咳をした。
目をぎゅっと握って、
咳の回数を重ねる度に頬が紅潮していく姿は痛々しくもあったが、艷っぽくてドキリと胸の奥が揺れた。

「どうしたの…、風邪?」
「ん、んー。そうみたい」

でも大丈夫だよ
そう無理に微笑んで、また本に目を移す。

僕の彼女は凄い意地っ張り。
本当は辛い癖に周りに心配をかけまいと平気に装う。

――でもね、僕は分かっちゃうよ。
君をずぅっと見てきたから、君の変化位気付いてしまうよ。


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