天恵
□〜その一言から。〜
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「うん!上出来!」
ねねは阿国を見ながら言った。
「おおきに。おねねはん」
阿国はやんわりと返事をした。ここはねねの部屋だ。
今日は宴なので、ねねはいつもの軽装とは違い、しっかりと着物を着ている。
いつもの活発な可愛らしさではなく大人の綺麗さが醸し出されている。
「でも、すんまへんなぁ…着物とか借りてもうて…」
阿国も、いつもと違う着物だ。髪飾りも違うし、化粧も違う。
全て、ねねの物だ。
「ううん。全然気にしないで!阿国ちゃんはもう私の娘みたいなもんなんだから!」
ね?とねねは笑った。
阿国も微笑んだ。
そんな時、廊下が一気にドタドタとうるさくなった。