天恵
□〜その一言から。〜
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「こら!何廊下でドタドタやってるんだい!」
ねねは勢いよく襖を開いた。
そこには幸村と政宗がいた。
「おねね様!阿国殿は無事ですか?」
「え…無事も何もちゃんと居るけど…」
「まだ兼続は来ておらんようじゃな…」
ねねには何が何だかさっぱりだった。
「一体何なんだい?…」
「おねね様、兼続殿が来たら絶対この襖を開いてはいけませんよ。それでは!」
幸村はそれだけ言い残すとまた走り出していった。そして政宗も。
「あ、ちょっと!廊下は走っちゃ駄目でしょー!!」
幸村と政宗はねねの言葉に知らん顔だった。