天恵

□〜その一言から。〜
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「やはりこれは運命なのだ!」
兼続が城内に響き渡るほどの大声で言った。



〜その一言から。〜



ここは豊臣秀吉の城である。
本日はここで宴が行われる事になっていて、
そして秀吉の希望で阿国が舞いを披露する事になっている。

本当ならば、豊臣家や家臣の者しか宴には参加出来ないのだが、阿国からの願いで特別に慶次、兼続、幸村、政宗も参加する事になった。

そして、今の状況である。

「……何が、運命なのですか?」
と幸村が兼続に質問した。
確かにこの状況で叫ばれたら聞き返すのが普通なのだろうが、幸村以外の者は聞く気が起きなかった。

「よくぞ聞いてくれた!幸村!」

兼続が生き生きとした表情で話始めた。

なんとなく嫌な予感がする。




そして兼続は爽やかな表情で、
「阿国殿は私の妻が相応しい!そう!これは運命なのだ!」

はたまた大声で言った。
その場にいる慶次以外の者が溜め息をつく。

「運命だと!?ほざくな!馬鹿めっ!!」

そして政宗が大いに反論した。
「黙れ山犬!これはもう決まってる事なのだ!」

幸村は終始呆れ顔をしている。そんな時、兼続が幸村の方を向いた。

「幸村ぁ!!!」

「はっ、はい!!」

突然話を振られて、しかも大声で名前を呼ばれて幸村は驚いた。
「我が主・謙信公はおなごを寄せ付けなかったのを覚えているな!?」

「はい…そうでしたね…」

兼続の気迫にやや押され気味に幸村は答えた。



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