依頼物置場
□CHAOS!
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翌朝、瞬は自衛隊本部の玄関にて東・西と話をしていた。
今日は特に訓練は無く、隊員達にとっては待ちに待った「休日」とも言える日だ。
「それで瞬殿、昨日貸したあれは読みました?」
「読んだが・・・やはり俺には理解出来ん。お前もよくあんな雑誌を平気で読めるものだな。」
「へへっ、俺は『兵器』を扱ってるんで・・・」
「ばか、全然上手く言っていないぞ!本当にそうですよね、瞬殿。西は下らない事ばかり興味を示しながら、訓練には力を入れず・・・」
「何だと!お前だって昨日、本屋でやけに可愛い女の子が書かれた雑誌を・・・」
「だ、黙れぇぇぇっ!!自分の密かな趣味を言うなぁっ!!それ以上言えば・・・!」
――・・・東も西も、マニアックさはさして変わらないと思うがな・・・
と、その時本部中に警報のサイレンが鳴り、直後にアナウンスが聞こえて来た。
『緊急報告!埼玉県春日部市に、正体不明の巨大生物が出現!本部に駐在する隊員達は至急、出撃の準備をせよ!繰り返す・・・』
「巨大生物・・・つまり・・・」
「怪獣か!?」
「自衛隊を出す以上、間違いあるまい。俺達も早く行くぞ。」
「「了解!」」
瞬達はむささびで出撃する為、早々と倉庫へ向かって行った。
数時間後、むささびは他の部隊に先んじて埼玉県・春日部市に到着した。
だが、そこで瞬達を待ち受けていたのは予想だにしない出来事だった。
「なっ・・・!?」
「「なにっ!?」」
ズゥジャアアアアアアアウン・・・!
彼らが驚いたのもその筈、春日部に現れた怪獣が彼らの目の前で何者かが放った光線により、攻撃されていたからだ。
茶色い重厚な体と太い尾、棘々とした胸に三日月の様な角を頭部に付けたその怪獣は光線を受けて倒れた後、爆発した。
「なっ、何が起こって・・・いるんだ・・・?」
「あのゴツい怪獣を、一発で・・・」
「いや、あの怪獣は少々弱っていた様に見えた。しかし3分前に入った報告に、そんな事は全く言われていなかった・・・つまり、あの怪獣を倒した相手はこの3分の間に怪獣を弱らせ、倒したと言う事だ・・・」
一方、怪獣を倒したその存在は赤色と銀色が混ざった体色をした、まさに「巨人」であった。
巨人の胸に付いた何かは音を立てて赤く点滅しており、巨人は掛け声を発して飛び上がったかと思うと両手を上へ垂直に伸ばし、そのまま飛行しながら空へ消えて行った。
「・・・!?」
「そ・・・空飛んだぜ、あのデカイの!?」
「・・・ひとまず、状況の確認だ・・・」
瞬はむささびを着陸させ、測定機を見て外の空気に異変が無い事を確認すると、東・西と共に外に出た。
春日部の街はある程度破壊されていたが、先程の巨人が怪獣の破壊活動を阻止していたからか、大惨事には至っていない。
「街は最小限の破壊で食い止められているが、あの巨人がしたと考えるべきか・・・」
「怪獣と互角に立ち向かうなんて、すげーっすね・・・」
「ところで瞬殿、この事はどう報告しましょうか・・・?」
「・・・難しいが、とりあえず怪獣が駆逐された事は報告しておこう。お前達は逃げ遅れた人がいないか、確認を頼む。」
「「り、了解。」」