second

□匂い
1ページ/1ページ


まだ、薄暗いのに目が覚めた。

隣にあった温もりが無くなったからかもしれない。


「なまえ」


返事は帰ってこなかった。 

まだ起きてない体を起こし、全部屋を探したが見つからない。


ふと、視線を動かせばベランダに赤い光が灯っていた。



「何してんの」

「ごめん、一服してました」


彼女は喫煙者。

俺の家で吸うときは、ベランダで吸っている。


「部屋で吸っていいのに」

「てっちゃんは、今が大事なときなんだからそれは嫌」



確かに忙しいスケジュールをこなしていた。


「服着て、風邪引くよ」


下着だけ、履いて出てきたから心配している。


「それに、ちゃんとご飯食べてる?」


少し痩けた頬を撫でながら言う。


「本当、心配」


なまえは心配性。

手術してから、尚更酷くなった気がする。



「大丈夫だって、なまえか一番知ってるでしょ?」



バーっと赤く染まる頬を撫でると、すり寄ってくる。
その様子は、猫みたい。




「てっちゃん、好き」

「知ってる」
次の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ